平成29年度厚生労働白書を読む②-第1章第1節 社会保障の役割と機能-

国の政策等

引き続き、昨年度の厚生労働白書の内容を超カンタンに解説していきます。

※平成29年度厚生労働白書についての解説です。平成30年度厚生労働白書もすでに公開されています。(厚労省HPはこちら

 

今回は第1章 我が国経済社会の中の社会保障 の

第1節 社会保障の役割と機能 について解説します。

この節では社会保障の定義について述べられています。

さっそく内容を見ていきましょう!

(出典:「平成29年版厚生労働白書」(厚生労働省ホームページに飛びます)

社会保障とは

社会保障の定義は、時代とともに少しずつ変化してきています。

社会保障制度審議会が1950年に示した定義は以下の通り。

「疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、

保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、

国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、

もって全ての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること

新憲法が公布されてから数年とあって、最低限度の生活保障に重点がおかれていますね。

その後、「国民皆保険・皆年金」の実現や、高度経済成長の下で福祉の質と量が充実拡大されていったことで、社会保障の定義も「生活の最低限度の保障」から「広く国民に安定した生活を保障するもの」へと変わっていきます。

1993年の社会保障制度審議会の報告においては、次のように定義されています。

「国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民にすこやかで安心できる生活を保障することを目的として、公的責任で生活を支える給付を行うもの」

 

社会保障の役割と機能

我が国の社会保障制度は現在、生涯にわたる生活を支援する制度になっています。

なんとなくいろいろなメニューがある!というイメージでしたが、下図を見れば生涯に受けられる社会保障が概観できますね。

(出典:「平成29年版厚生労働白書」(厚生労働省)より抜粋)

次に社会保障の3つの機能について。(教科書的内容です)

「生活安定・向上機能」…一定の自己負担で医療が受けられ、老後は年金、失業時には雇用保険など、生活保障をもたらす。

「所得再分配機能」…所得に応じた負担(応能負担)により、所得を個人や世帯の間で移転させることで国民生活の安定を図る。

「経済安定機能」…経済不況期にも一定の現金が支給される公的年金のように、景気変動を緩和し、経済を安定させる機能。

 

国民経済から見た社会保障

企業や家計が一年に負担する税額は、法人税や所得税などの直接税が52兆円、消費税などの間接税が46兆円です。

一方、企業部門が雇主分として負担する社会保険料は30兆円、家計部門が本人分として負担する社会保険料は35兆円

社会保障は負担の面で直接税を上回る規模です。

そして、政府部門から家計部門への社会保障給付は101兆円

これは一般の行政サービスの79兆円をはるかに上回る規模です。

社会保障って、経済全体に占める割合で見ても、とても大きなものなんですね。

 

 

また、我が国における社会保障の歴史は、高度経済成長と高齢化によってひたすらその規模を拡大してきた歴史でもあります。

下の図を見てみましょう。

高度経済成長期には、社会保障給付費が20年間で28倍(1950年⇒1970年)と著しく拡大しましたが、

国民所得もまた同じように大きく拡大したため、対国民所得比は5%前後で横ばいでした。

しかしその後、オイルショック後の経済低迷にも関わらず、社会保障給付費は拡大の一途をたどります。

田中角栄内閣が1973年を「福祉元年」と位置付けたように、高度経済成長後の我が国はさらなる福祉の拡大を選択していきます。

このころは、東京都の美濃部知事、大阪府の黒田知事など、1970年前後は全国で革新派の首長が誕生し、福祉政策の拡大は時代の要請でもありました。

1980年度には、社会保障給付費の対国民所得比は12.15%に達しています。(ちなみに2015年以降は約30%・・・)

その後、80年代から90年代初頭まで国民負担率が再び横ばいになる時期がありますが(後述)、

バブル崩壊後の経済低迷が長期化する中でも高齢化は加速度的に進展し、租税負担率と社会保障負担率を合わせた国民負担率の増大傾向は止まらないまま、現在に至っています。

 

以上が、第1節「社会保障の役割と機能」の内容です!!

 

私見:社会保障の国民負担率の増大を食い止めるために

以上見てきたとおり、社会保障の国民負担率は、増大⇒横ばい⇒増大 を繰り返しつつ、確実に増大してきています。

その原因を私なりに分析すると、

国民負担の増大要因:高齢化の進展・社会保障給付内容の充実 など

国民負担の減少要因:経済成長による国民所得の増・社会保障における自己負担の増・給付の減 など

これらにより、各年代の国民負担率は、以下のように推移してきました。

1950年~70年:国民所得の増大により、社会保障が充実しても国民負担率は変わらず

1970年~80年:経済成長の鈍化にも関わらず、社会保障を充実拡大(老人医療費の無料化など)して国民負担率が増大

1980年~90年:老人保健制度(高齢者にも一部負担あり)創設や健康保険の本人1割負担の導入など、社会保障費の増大に一定の歯止めがかかり、国民負担率は横ばい

1990年~現在国民所得が伸び悩む中、高齢化率は90年の12.1%から2017年の27.7%まで上昇。租税負担率の上昇もあって、国民負担率は上昇傾向

今後、高齢化はさらに進展していきます。

私たちアラサーが65歳になる2055年頃には、高齢化率は39.4%に達すると推計されています。

すなわち、経済成長がほとんどないと仮定した場合に現在と同じ給付水準を保つには、負担者数が変わらなくても約1.4倍(39.4/27.7)の国民負担が必要なのです。

しかも、人口減少と高齢化に伴う生産年齢人口の急減により、実際の負担者数は現在の66%ほどに減少する見込みですから、

国民一人当たりの負担額は約2.1倍(1.4×100/66)に増加すると思われます。

(※高齢化率及び生産年齢人口の推計は内閣府「平成30年度高齢社会白書」による。)

この「社会保障の負担が30年で倍増する問題」をどうするかは、政治家や官僚のみならず、私たち国民一人一人が真剣に考えないといけないと思います。

私個人としては、社会保障給付を減らす以外、抜本的な解決方法はないと思っています。

消費税率の引き上げ分を社会保障にあてるといっても、結局は国民の租税負担率を上昇させるだけで、

社会保障と国民経済全体のことを考えると、持続可能性を高めるものではありません。

(とはいえ、極端な財政赤字を縮減するために、歳出削減のみならず安定財源の確保が必要なのは明らかですので、増税そのものは致し方ないと思います)

まずは社会保障給付を減らし、高齢化率が安定するまで(すなわち少子化が進展しきった時代に生まれた人が高齢者になる2060年代まで)、

少しでも高い経済成長率(すくなくとも米国以外の先進諸外国並み)を目指しながらなんとか耐えきるしかないんじゃないでしょうか。

 

資産形成に取り組む個人投資家として政府に言いたいのは、

「自分の分は自分で何とかするから、少しでも資産形成しやすい環境を整えてください!

 現状まったく利用しない健康保険も、しっかり負担していますが、私らが高齢者になったとき3割負担は覚悟しますので・・・

 (そのころ現役世代は少なくとも5割負担でしょうけど)」

といったことでしょうか。かなり譲歩してます。

皆さん、資産形成がんばりましょう!!笑

ではまた次回!!しーゆーあげいん!なにもあげん (クレヨンしんちゃん風)