金融リテラシーの高め方・FINAL(後編)|金融取引・金融商品の基本編

2020年3月29日小ネタ集

金融リテラシーの高め方をお伝えしてきた本シリーズの最終回です。

※長くなったので前編後編に分けました!前編はこちら

金融全般に関する基礎知識

さて、前回までで、金融取引(というか契約全般)に臨む基本姿勢はわかりました。

次は金融全般に関する超基礎の知識を身に付けましょう。

単利と複利

単利とは、元本だけに金利がつく仕組みのこと。

複利とは、元本と金利を合わせた金額に金利がつく仕組みのこと。

単利の場合、100万円を年1%で運用すると、毎年1万円の金利がつく。

複利の場合、最初の1年の金利は1万円だが、2年目の金利は(100+1)×1%=1万100円になり、3年目の金利は(100+1+1.01)×1%=1万201円になる、というように、毎年付加される金利の額が大きくなる。

ここで複利のすごさを強調する意味で「5%で30年なら!?」と持っていくのが定番の流れですが、金融リテラシーを高めたい皆さんには、「そんなこと計算しても意味がないよ」ということをお伝えします。

言ってみれば、入学式で隣の席の女子に話しかけられたからといって、モテモテのキャンパスライフが約束されたわけじゃないって話です。賢く堅実に運用しましょう。

インフレとデフレ

インフレはインフレーションの略で、物価上昇のこと。

デフレはデフレーションの略で、物価下落のこと。

インフレは好況期に起きやすく、デフレは不況時に起きやすいのですが、景気の停滞と物価上昇が同時に起こることもあり、その現象をスタグフレーションと呼びます。

ここまでは教科書の話。ここからは実社会の話。

現在、日銀は「2%の物価安定目標」を掲げています。その理由を日銀は次のように説明しています。

日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体
の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高
まっていくと認識している。現在の予想物価上昇率は長期にわたって形成さ
れてきたものであり、今後、成長力の強化が進展していけば、現実の物価上
昇率が徐々に高まり、そのもとで家計や企業の予想物価上昇率も上昇してい
くと考えられる。先行き、物価が緩やかに上昇していくことが見込まれる中
にあって、2%という目標を明確にすることは、持続可能な物価上昇率を安
定させるうえで、適当と考えられる。

引用:「金融政策運営の枠組みのもとでの『物価安定の目標』について」(日本銀行 2013年1月22日公表資料)

なぜ2%なのかということについては、日銀の黒田総裁はこう言っています。

第一の理由は、消費者物価指数の特性、すなわち、消費者物価指数には、上方バイアス、つまり、指数の上昇率が高めになる傾向があるということです。第二に、景気が大きく悪化した場合にも金融政策の対応力を維持するために、ある程度の物価上昇率を確保しておく方が良いという、「のりしろ」と呼ばれる考え方です。第三に、こうした考え方は、主要国の中央銀行の間では広く共有されており、多くの中央銀行が「2%」の物価上昇率を目標とする政策運営を行っていることです。つまり、「2%」は、「グローバル・スタンダード」になっているということです。

引用:2014年3月20日 日本商工会議所における黒田日銀総裁の講演

要するに、「ちゃんと経済成長する社会においては、ゆるやかにインフレが進行するのが当たりまえで、その割合は2%くらい。他の中央銀行も同じような考えなので、それ目標にさせてもらいます!」ということです。

消費者あるいは投資家の目線で言えば、「物価が2%で上昇するような金融政策をとるということは、現金は毎年2%ずつ価値が目減りするようになるということ。投資はいよいよ必須になる。」ということです。

円高と円安

(※円高と円安、通貨と為替について詳細記事はこちら!←公開次第リンクします。)

円高・円安とは何か

外国通貨に対して円の価値が相対的に高まっている状態を円高、その反対を円安といいます。

外国通貨の中でもドル(アメリカ合衆国ドル)は基軸通貨として世界で利用されていますので、単に「円高」というときには「円高ドル安」を、「円安」というときには「円安ドル高」を意味します。

通貨間の交換比率のことを為替レート(為替相場)といい、円に対する外貨の為替レートのことを「円相場」と呼びます。

円相場は、例えば 1ドル=105円 のように表します。

では円相場がいくらになったら円高で、いくらになったら円安なのでしょうか。

これは、明確な基準があるわけではありません。通貨の相対的な価値は、それぞれの通貨の需要と供給、各国の経済状況、金利動向、財政・金融政策などの様々な要因によって日々変動しますので、「円とドルの交換比率はこのくらいが妥当!」と誰もが納得する水準というのは存在しません。ただ、「今現在の経済状況などを加味するとだいたいこれくらいが心地いいかな」と多くの人が感じる水準はあり、そうだからこそ「いま円高だよね」という緩やかなコンセンサスが生まれるのです。

円高または円安になるとどうなるか

円高になると、円の価値が高くなるので、外国からの輸入品が安くなる一方、我が国からの輸出品は外国において高くなります。日本は輸出大国なので、円高は国内産業にとって不利だとされています。

円高になると、対外直接投資が促されます。(国内で生産すると輸出時に不利になる一方で、外国に工場などを立てる際の費用は安くなるため)

また、円高は国際的に見て日本の労働力にかかる価格が高くなることを意味するので、コスト高から輸出品の国際競争力を低下させます。

ここまでの説明を聞くと、「じゃあ日本にとっては円安がいいんだね」となりますが、ことはそう簡単ではありません。

確かに、円安になると輸出品が外国で安く販売できるので、輸出産業には追い風です。しかし、資源のほとんどを輸入に頼る我が国にとっては、円安は燃料費や原材料費の高騰を意味します。輸入品の価格が上がるので、輸出産業以外の国内産業は打撃を受けますし、私たちの生活にも影響します。

「じゃあどっちがいいの??」という問いに対しては、「どちらにもメリットデメリットがあるので、立場によって異なる」と答えざるを得ませんが、「個人投資家にとってどっちがいいの?」と聞かれれば、「基本的には、円安のほうが好ましい。」と答えます。やはり自動車産業などの国内を代表する産業にとっては円安のほうが好ましく、株式市場も円安時に好調となる場合が多いためです。

 

リスクとリターン

リスクとは「不確実性」のことです。

一般的には「マイナスの結果が起こる可能性」の意味で用いられますし、「危険」と訳されることすらあります。

しかし、投資の世界で「リスク」というときには、マイナスだけでなくプラスの結果を生む可能性をも含みます。

「株式投資にはリスクがある」と言うときには、「株価は将来どうなるかわからない。上がる可能性もあるし、下がる可能性もある。」という当たり前のことを言っているに過ぎません。しかし、日本は投資に消極的な人が多いので、「株式投資にはリスクがある」と言うときに「だからやめておこう」というニュアンスを含むことが多いです。

ただ、「リスク」という言葉に「プラスの結果を生む可能性」という意味が含まれているといっても、投資をする上では「プラスの結果を生む可能性」ばかりに目を向けず、「マイナスの結果を生む可能性」を下げる工夫が必要になるため、ついプラスの可能性にばかり目を向けがちな人に注意を喚起する意味で、多少なりマイナスの可能性を重めに受け止める姿勢は大切だと思います。だからといって投資をやめるべきではないと思いますが。

次に、リターンとは、投資に対する見返り、すなわち「収益」のことです。

一般に、リスクとリターンの関係は表裏一体とされます。すなわち、リスクが大きなものほどリターンも大きく、リスクが小さなものほどリターンも小さいということです。

株式投資と銀行預金を比べてみましょう。

株式投資は、株式会社の株を購入して、配当などを受け取りながら、株価の変動によって投資した資産の価値が変動するというものです。株の売却で利益(キャピタルゲイン)を得る方法と、配当収入(インカムゲイン)を得る方法のいずれか又は両方により、利益を得ることを狙う投資です。

例えばパナソニックの株価を見てみると、2015年5月に1800円を上回っていた株価は、2016年2月には800円にまで下落しました。その後、2017年11月に1700円を付けるまで上昇を続けましたが、下落に転じ、2019年8月15日の終値は801円となっています。すなわち、この4年間で株価が倍になったり半値になったり、緩やかながら大きく動いたことが分かります。

このように、株式投資は資産が数年で半分になったり倍になったりする点で、一般にハイリスク・ハイリターンとされます。(ただし、株価の変動しにくい株式もあり、購入の仕方や投資スタンスによってリスクもリターンも変動します)

一方の銀行預金は、普通預金金利が0.001%、定期預金金利が0.01%と超低金利です。ここまでくると金利ゼロと一緒ですね。

銀行預金は1,000万円までであれば、たとえその銀行が破綻しても預金保険機構から預金保険金として給付されます(ペイオフ)ので、事実上・ノーリスクにも近い超ローリスク・超ローリターンです。

手数料

(※手数料について詳細記事はこちら!←公開次第リンクします。)

手数料は、その名の通り他人に何らかの手続きを依頼した際に支払う料金のことです。

マイナス金利下で苦しむ金融機関(特に銀行)が存亡をかけて注力していることから、それを揶揄して「手数料ビジネス」なる言葉が一般的になってきています。

金融取引をするときは、手数料に必ず着目してください。

投資にはリスクがあり、将来のリターンは不確実なものですが、唯一確実と言えるものがあります。それは「手数料は確実にリターンを押し下げる」ということです。

サービスに見合った料金を支払うことは健全な経済活動ですし、手数料を目の敵にしすぎて金融機関の商売が成り立たなくなると、私たち顧客も困ります。なので、決して「手数料を取るのは悪だ」と言っているわけではありません。

あくまで、投資家として手数料は運用利回りを低下させるものであると知った上で、手数料以外の部分も含めて適切に判断すべきだということです。

金融商品等に関する基礎知識

ここからは、金融商品のカテゴリごとに基礎的な知識を整理します。

詳細はそれぞれ別記事を書く予定にしておりますので、そちらをご覧ください。

保険商品

(※保険商品についての詳細記事はこちら!←公開次第リンクします。)

保険商品は、多数の加入者が保険料を支払って、保険事故により財産上の損失が生じた際に、保険金を受け取るという金融商品です。

超かんたんなモデルを説明しましょう。

10分の1の確率で10万円の財産損失が生じる事故が生じる世界があったとします。

10人の人がそれぞれ1万円ずつ保険料を出し合ってお金をプールしておけば、誰か1人が事故にあって10万円の損失が生じたときに損失を補てんしてあげることができます。これが保険の最もシンプルな姿です。

しかし、このシンプルなモデルを現実世界に近づけていくと、まず保険を運営する保険会社が必要です。保険会社は公益性の高い事業を営むものの、営利企業ですから、手数料を取ります。保険会社はいかなる事故の際に保険金を支払うのかの条件や保険料の支払い方法などについて、保険契約者と契約を結びます。

また、国は保険業者に対して営業の際に必要な要件を定めて規制する一方で、保険料の支払いについて税制上の優遇(保険料控除)を与えたりもします。

複雑になってきましたね。では詳細は個別記事にゆだねるとして、今回は金融リテラシーを高める上で参考となるべく、筆者の個人的見解をお伝えします。

①生命保険が必要な人は限られている。それは預貯金がなく、いざというときにあてにできる親族もなく、小さな子供がいて、家族のうち定期的な収入がある人が自分しかいない人。その人は子供が小さく配偶者が働けないうちだけ、県民共済の死亡保障に加入しましょう。

②医療保険は不要。ただし、高額療養費制度でカバーできないような医療を受けたり、個室で入院したりしない前提で。

③もっとも残念なのは、独身で、親を扶養していないのに生命保険に入っている人。あなたに万が一があったとき悲しむ人はいても、経済的に困窮する人はいますか。

※あくまで個人的見解です。一番お伝えしたいのは、「保険のお姉さんの言うことを鵜呑みにせず、高額療養費制度や生活保護制度(医療扶助・教育扶助等)など、国が用意しているセーフティネットも正しく理解した上で、自分に(高額な)保険が本当に必要なのかをしっかり調べることが大事」ということです。

ローンとクレジット

(※ローンとクレジットについての詳細記事はこちら!←公開次第リンクします。)

分散投資と長期投資

(※新社会人向けに書いた過去記事もご参照ください。)

分散投資…ずばり「卵を一つのかごに盛るな」ということ。一つの金融商品や一つの会社の株式などに集中して投資してしまうと、その商品や会社がダメになったとき、資産の大部分を失うことになる。ある程度の分散はリスクを低減させ、あなたの資産を守ります。ただし、あまりに分散しすぎると管理も大変です。その点では、全世界に投資できる投資信託などは分散の効果と管理の容易さを両立させていると言えます。

長期投資…短期的に売り買いをするキャピタルゲイン狙いの投資ではなく、主にインカムゲインを目的として長期で行う投資。ただし、配当金を出さない投資信託を積み立てていくことにより、ファンド全体の成長の果実を数十年後に受け取るということも、長期投資といえます。

この記事のまとめ

いかがだったでしょうか。

金融リテラシーを高めるには大きく3つのステップがあり、今回はその最終段階(知識編)ということもあって多岐にわたる内容をまとめきれたとは言えない内容でした。また、多くを詳細記事として後の追加記事に委ねるなど、苦肉の策をとりましたが、いささか網羅性・簡潔さに欠くところもあり、中途半端になってしまいました。力不足を率直にお詫びします。いずれ再挑戦しようとおもいます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

この記事のまとめ

金融リテラシーの高め方 今回は知識編

〇複利の力はすごい!が、期待しすぎは禁物

〇日銀は2%の物価目標を定めて取り組んでいるのだから、それが上手くいけば、現金は毎年2%ずつ価値が目減りするようになる。

〇投資家としては、円高は困る。

〇リスクとリターンは裏表。リスクを低減させる工夫を。

〇手数料は低いほど良いが、それだけではない。

〇保険について、何も考えずに加入するのだけはやめて!

〇卵を一つのかごに盛るな。

 

 

小ネタ集金融リテラシー

Posted by fab