金融リテラシーの高め方・FINAL(前編)|金融取引・金融商品の基本編
金融リテラシーの高め方をお伝えしてきた本シリーズの最終回です。
※長くなったので前編後編に分けます!あしからず。
↓シリーズになってます。
初回の記事で、金融リテラシーのある人とは、
①自分の家計を適切に管理できる
②自分の人生の各段階における必要資金について把握している
③自分が行う商取引(契約など)の意味を理解し、適切に行える
そんな人だとお伝えしました。
そして前々回の記事では①家計の適切な管理について、
前回の記事では②人生の資金計画の立て方について解説しました。
今回はいよいよ、③商取引の意味を理解し、適切に行うために必要なことを解説します。この記事(と次回の後編!)を読めば、私たちが金融関係の経済活動を行う上で必要な「いろは」がざっと理解できるようにしておりますので、少し長くなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。
金融取引の基本となる素養
初回の記事でお伝えした通り、金融とは資金を融通すること、またその資金の流れのことです。
それを踏まえると、金融取引とは資金を動かすことを目的とする取引のことであると言えます。例えば、株式を購入したり、ローンを組んだり、保険に加入したりする取引がそれにあたります。
取引というのは、「私はこうするから、あなたはこうしてね」という約束を交わして実行することですから、通常、何らかの契約を伴います。
なので、金融取引を理解し適切に行うためには、まず「契約」というのがどういうもので、どのように向き合うべきものなのかを学ぶことが大切です。
契約にかかる基本的な姿勢
契約とは
契約とはなんでしょう。
【一般向け説明】当事者同士が合意して成立させる法的な約束のこと
【法学部向け説明】一方当事者の意思表示(申込み)と他方当事者の意思表示(承諾)の合致によって成立する法律行為のこと
いずれの説明でも、①2人以上の当事者がいて、②合意すれば、契約は成立するということが分かると思います。
契約書がなくても、すなわち口約束でも、合意があれば契約は成立します。ただ、口約束だと「言った」「言わない」で後に争いになることがあるので、当事者の合意の内容を書面にしておきましょうということで、特に大きな金額が動く契約の場合、契約書を作るのが通常です。
契約の効果
契約が成立すると、どうなるのでしょう。
【一般向け説明】合意した内容を守らなければならなくなる
【法学部向け説明】法的拘束力が生じ、契約の当事者は、契約内容に従って債権を取得し又は債務を負う
少しわかりにくいですが、「合意した内容を守る」ということは「約束どおり当事者がそれぞれ何かをする」というだけでなく、「原則として、契約を一方的に解消できない」ということも含みます。
「約束したけど、やっぱりやーめた」ということがまかり通ると、安心して経済活動ができませんよね。
契約をするときに気を付けること
上記のような性質をふまえると、契約するときにどこに気を付ければいいのでしょうか。
一言で言えば、契約書をよく読むことです。あなたが守らなければならない内容は全て契約書の中に書いてありますから、契約書の内容を理解することが重要であることは言うまでもありません。
しかし、日常生活で私たちが契約をするとき、相手は一般企業や金融機関などの法人であることが通常で、契約書は相手方が用意しています。また、相手は万が一の訴訟などに備えて契約書の内容を細かく作りこんでいますので、私たち一般の消費者が契約書の内容を隅々まで読み込んで理解することは非常に難しく、ぶっちゃけて言えば「いちいち全部読むなんて無理!」ですよね。
それでも、契約書の中で最も重要な部分だけは確認しておくことを強くおすすめします。
契約書のここは確認!
①契約期間…いつからいつまで契約は続くのか、いつまでにしないといけないか
②金額…いくらのお金が動くのか、遅延利息などはどうか
③履行の条件…どうなればお金などが動くのか
④契約の解除・終了…どうなれば契約は終わるのか
⑤損害賠償…トラブルがあったとき、どちらがどこまで責任を負うか
信頼できる相手かどうかの見分け方
契約のときに気を付けることは、契約書の内容だけではありません。
いや、それ以上に重要なのが、「誰と契約するか」ですよね。
ここでは信頼できる相手かどうかを見分けるポイントをお伝えします。
※これだけで判断しないようにしてくださいね。
最も信頼できないタイプは、繁華街の客引き(を雇う店)
誤解を恐れずに言えば、最も信頼できないタイプは、繁華街で「居酒屋お探し?今なら安くできるよ」と声をかけてくる客引きとそのお店のようなタイプです。付きまといをしてきたり、断ると舌打ちされたり、そんな経験ありませんか?
なぜ信頼できないか、理由はこうです。
①強引な客引きをしないと客が来ない店(高い・まずい・ぼったくり)だから。
②客引きを雇う費用は客が負担しているから。
③ガラの悪い客引きを雇うことによる信用の喪失というリスクに目を向けられていない、もしくは気にすらしていない店だから。
これは、飲食店以外にも言えることです。
不動産仲介業者で、「今日決めろ」としつこく迫ってくる営業担当や、こちらが悩んでいると商品のいいところばかり強調して悪いところは露骨に隠そうとする家電量販店の店員など、
要するに①余裕がなかったり、②商品のデメリットを明らかにしないなど、③売上優先で客に対して不誠実な業者 は信用してはいけないということです。
個人的には、あまりお金にならない客や、高齢者や子どもに対して態度が悪い業者は関わらないほうが無難だと思っています。ただし、高齢者をカモにしている業者は妙に高齢者に形式的に優しかったりもするので、それだけで判断はできません。あくまで総合判断しましょう。
では、信頼できるタイプは?
ではどういう業者なら信頼できるのでしょうか。
いくつかありますが、万人におすすめできるのはこんな感じでしょうか。
①業界最大手又はそれに準じる企業
②一般の人による口コミ・レビューが批判も含めてちゃんとある
③説明が丁寧で正直。問い合わせにも誠実に対応し、しつこく勧誘しない
「けっきょく大手なの?」という声もあるかと思いますが、大手の業者には消費者から見た場合にいい点がいくつもあります。
①規模の利益を生かした低コスト・高付加価値のサービス
②経験の蓄積
③市場や顧客からの多角的な評価
④信用の喪失(看板に傷がつく)を恐れるので、対応が誠実
⑤セキュリティ対策に多額の投資ができるので利用者の安全が確保される(セブンペイ?なんのことやら・・・)
お気づきの方も多いと思いますが、資本主義社会においては、「資本の集積度が競争力に直結する」、すなわち「お金のあるところが強い」のです。
ただし、「大手ならどこでもいい」と言っているわけでも、「中小企業はだめだ」と言っているわけではありません。当然ながら、大手にはできない大胆な戦略や商品で席巻するベンチャー・スタートアップも珍しくありません。
今回はあくまでも、「その商品やサービスについての知識がない場合に、迷ったら口コミなどを最大限に活用しながら最大手・2番手から選択するのが消費者として無難ですよ」ということです。
その上で、いくつかある大手企業を比較しながら、最終的な契約先を絞り込んでいきましょう。
その際にも、企業にとって不利な情報であっても、消費者に必要な情報であれば説明するなど、誠実な対応がなされている企業を選択するとよいでしょう。
前編のまとめと後編の予告
ではここで前編のまとめです。ここまで読んでいただきありがとうございました。ぜひ後編(近日公開)も読んでくださいませ。
前編のまとめ金融取引の基本となる素養
〇契約とは、当事者同士が合意して成立させる法的な約束のことで、合意があれば口約束でも成立する。成立した契約には「約束を守らせる力(法的拘束力)」があり、原則として一方的に解消できない。
〇契約書はよく読むこと。特に契約期間や金額・履行条件などは必ず確認する。
〇契約の相手として、「①余裕がない②デメリットを明らかにしない③売上優先で不誠実な相手」は決して選んではダメ。
〇契約する業者の選択に迷ったら、批判も含めた口コミを活用しつつ、大手の業者から選ぶのが無難。誠実な企業と取引しよう。
後編の予告後編の内容は以下の通りです
金融全般に関する基礎知識
〇単利と複利
〇インフレとデフレ
〇円高と円安
〇リスクとリターン
〇手数料
金融商品等に関する基礎知識
〇保険商品
〇ローンとクレジット
〇分散投資
〇長期投資
など