年齢層別・身に付けるべき金融リテラシー
金融リテラシーを高めることの重要性とその方法については、このブログで何度も取り上げてきました。
今回は年齢層別に身に付けるべき金融リテラシーをお伝えします。
なお、この記事は金融広報中央委員会のホームページ(「知るぽると」)を参考に執筆しています。
小学生~高校生まで(家庭における金融教育)
お金に関する知識は人生において必ず必要になるものです。高校生以下の子どものいるご家庭では、ぜひお子さんの将来のために金融教育を行いましょう。
小学生
小学生になると、お小遣いを渡す家庭も多くなります。「必要なもの」と「欲しいもの」とを区別し、計画的にお小遣いを使えるようにアドバイスしましょう。
また、「友達とお金の貸し借りはしない」など、トラブルを避けるために日常生活におけるお金のルールを身に付けることも大切です。
そのほか、「工場で商品が作られる。お店はお金を払って商品を仕入れる。お客さんはお金を払って商品を買う。お客さんは働いて給料をもらって、また商品を買う。」といった社会全体のお金の動きの基本を学ぶのも、この時期です。
小学生が身に付けるべき金融リテラシー・お小遣いを計画的に使う
・日常生活のお金のルールを身に付ける
・社会全体のお金の動きを学ぶ
中学生
中学生は、お小遣いをもらう一方で、親からの精神的な自立が始まる時期です。友達と買い物に出かけたりし始める子もいるでしょう。お小遣いの額も増えるからこそ、計画的にお金を使い、いつか買いたいものを買うために貯蓄をすることを覚える時期でもあります。
一方で、スマホのゲームなどに親のクレジットカードを使って勝手に課金したりといった非行に近い行動をとる子もいます。この時期は、SNSなどで親が思っている以上に活動範囲が広がり、好奇心から詐欺などの犯罪被害にも遭いやすくなる時期です。
お金はみんなにとって大切だからこそ、不正な手段で得ようとする輩もいることを理解することが必要です。反抗期が本格化する前に、詐欺や悪質商法など、金融犯罪の怖さや手口について話して聞かせる機会を持ちたいところですね。
中学生が身に付けるべき金融リテラシー・目的を持って貯蓄することを覚える
・金融犯罪の被害にあわないように自己防衛策を学ぶ
高校生
高校生になると、バイトを始める子もいます。活動範囲はさらに広がり、電車に乗って都心に出かけたり、ネットショッピングやフリマアプリを活用するのが当たり前の時代です。
親からの精神的な自立がかなり進み、どんなお金の使い方をしているかを把握することが難しくなります。
しかし、この時期こそが金融教育の仕上げの時期です。大学生・社会人になれば自立して金融リテラシーを高め、自己責任で経済活動をしなければなりません。その前に、社会にでるための必要最低限の金融リテラシーを身に付けたいところです。
高校生への金融教育は、職業教育とセットです。何をして生計を立てていくかという将来像を一緒に想像することから始めましょう。
また、契約と契約に伴う責任についても理解を深める必要があります。賃貸契約や雇用契約など、身近で重要な契約について、実際の例を示して説明するなどが効果的です。
さらに、お金の役割について理解が進むこの時期には、「円安・円高とは何か」「インフレ・デフレとは何か」など、自分で金融に関する情報収集を行うための基礎知識を獲得することも大切です。
高校生が身に付けるべき金融リテラシー・将来自分が就きたい仕事とお金をセットで考える
・自分で情報収集することを覚える
・為替や物価といった金融に関する基礎知識を身に付ける
大学生
大学生は、社会人として自立するための能力を確立する時期です。
成人すれば、自分だけの意思で契約などの法律行為を行うことができます。経済的な自立の程度は低くても、大学近くの町で一人暮らしをし始めるなど、家計管理の必要が出てくる人も多いですね。
法律行為が行えるということは、銀行や証券の口座を開くこともできるようになります。社会人になる前の準備として銀行口座・証券口座の開設に着手するのもいいでしょう。
この時期は、ねずみ講などの悪質な勧誘を受けやすい時期でもありますが、自分自身の意思で情報を収集・取捨選択し、社会人に近いレベルで適切な消費行動を行えるようになる必要があります。
高校までにアルバイトをしていない人でも、この時期には多くの人が経験します。自分で稼ぐことで初めてお金の価値を知るというのは大切な経験だと思います。もちろん、学生の本分は勉強ですから、大学に入った以上は学問と向き合う時間をしっかり過ごしたいですね。
大学生が身に付けるべき金融リテラシー・成人したら、銀行口座(投資に関心があれば証券口座も)を開設する
・自分で集めた情報を取捨選択し、適切な消費行動を行えるようにする
・自分で稼ぐことでお金の価値を実感する
若年社会人
新社会人から5年目くらいまでの若年社会人は、生活面・経済面で自立する時期です。
まずは家計管理(収支管理)をしっかりと行う必要があります。固定費や変動費について理解し、収入の範囲で生活を行うことを習慣づけましょう。
また、仕事とプライベートの両立を図り、自分のライフプランを実現するためにお金がどの程度必要かを考え、計画的に貯蓄、資産運用を行えるようになることが目標です。
さらに、資産運用にあたって必要となる、金融商品や複利に関する基礎知識を身に付けることが重要です。金融商品には流動性・安全性・収益性といった特性があり、リスク管理を行いながら長期的視野に立って貯蓄・運用することが大切です。
ライフプランの実現の第一歩として、まず貯金100万円を達成することをおすすめします。
若年社会人が身に付けるべき金融リテラシー・家計管理をしっかり行い、収入の範囲で生活を行う
・長期的視点で計画的な貯蓄と資産運用を始める
・金融商品や複利に関する金融知識を身に付ける
・貯金100万円を達成する
一般社会人
社会人歴も5年を超えると、社会人として自立し、仕事や家庭において本格的な責任を負うようになります。
家計管理の主な担い手として、収入支出や資産負債を把握管理し、必要に応じて収支の改善などを行うことが求められます。
経済社会や自身を取り巻く環境の変化等を踏まえて、必要に応じてライフプランや資金計画の見直しを検討しつつ、老後も見据えて資産形成を着実に行うことが大切です。
また資産形成にあたって投資を行う場合は、iDeCoやNISAといった有利な制度をしっかりと活用することも検討を。
資産形成の経験を積んだ社会人は、自身の金融リテラシーの向上に加えて、配偶者や子どもに対して学んだことを伝える役割があります。特に、子どもの金融教育は将来を左右する大事な教育だと心得て、しっかりと取り組みましょう。
一般社会人が身に付けるべき金融リテラシー・家計管理を担い、収支改善に取り組む
・老後を見据えた資産形成を行う
・必要に応じてライフプランや資金計画を見直す
・iDeCoやにNISAを活用する
・配偶者や子供に金融リテラシーの大切さを伝える
まとめ
年齢層に応じて、各段階で身に付けるべき金融リテラシーの程度は異なります。
応用は、しっかりした基礎の上に成り立つものです。
自分の金融リテラシーの程度を把握し、一歩ずつ確実に高めていきましょう!