【書評】伝説の名投資家12人に学ぶ儲けの鉄則(小泉秀希)
世の中に数多くある「名投資家の投資手法」を誰か1冊にまとめてくれないかな?と思ったことのあるそこのあなた!
まとめサイト、まとめブログなど、飽和した情報社会にあって「これだけ読んどいてください」的なページはありがたいですよね。
この本がそれです。
どんな本?
この本はマネー雑誌「ダイヤモンドZAi」の連載「名投資家に学ぶ株の鉄則!」を基に書かれた投資手法の決定版です。
マネー雑誌の連載がもとというだけあって、株式投資の初心者が入門編として読んだり、中級者が基本に立ち返りたいときに手っ取り早く著名な投資手法を確認するという用途に適しています。
あくまで「まとめ本」ですから、より深く掘り下げて勉強したい人は、この本に登場する「名投資家」たちが自ら書いた書籍もあわせて読むことをおすすめします。
内容紹介
12人の名投資家たち
タイトルどおり、名投資家が12名登場します。①~⑥までの投資家の手法はは各1章を割いて解説していますが、⑦~⑩及び⑪・⑫は合わせて1章ずつで書かれています。
①ベンジャミン・グレアム(1894-1976):バリュー投資の生みの親。バフェットの師の一人。『賢明なる投資家』(1949)は不朽の名著。
②フィリップ・フィッシャー(1907-2004):成長株投資の生みの親。バフェットの師の一人。『フィッシャーの「超」成長株投資』が代表作。
③ウォーレン・バフェット(1930-):史上最強の大投資家。バイト代を元手に一代で5兆円の資産を築いた。バークシャー・ハサウェイ社を通じて現在も投資や買収を行う現役投資家。
④ピーター・リンチ(1944-):個人投資家のバイブル『ピーター・リンチの株で勝つ』の著者で、伝説的ファンドマネージャー。大化け株探しの大家。
⑤ウィリアム・オニール(1934-):『オニールの成長株発掘法』の著者。投資情報誌『インベスターズ・ビジネス・デイリー』を創刊。テクニカル分析を重視。
⑥ジム・ロジャーズ(1942-):最も成功したヘッジファンドといわれる「クォンタム・ファンド」の共同創設者の一人。10年間でファンドの資産は30倍以上になった。もう一人の創設者は後述のジョージ・ソロス。
⑦ジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946):20世紀を代表する大経済学者。投資家としても成功。
⑧ジョン・テンプルトン(1912-2008):国際投資のパイオニア。高度成長期の日本株投資で成功した投資家。
⑨ジョン・ネフ(1931-):絶対的安定感のある運用をすることで有名なファンドマネージャー。「ウィンザー・ファンド」は31年間で規模が150倍に。
⑩是川銀蔵(1897-1992):自伝『相場師一代』の著者。住友金属鉱山への投資で200億円もの利益を得て長者番付日本一に。財産はほとんど奨学財団に寄付した。
⑪マーティン・ツバイク(1942-2013):米国の著名市場アナリスト。市場トレンド分析の第一人者。
⑫ジョージ・ソロス(1930-):一代で2兆円近い資産を築いたファンドマネージャー。バフェットと双璧をなす大投資家として有名。92年の英ポンド売りで得た利益は2,000憶円とも。
王道はバフェットの割安成長株投資
①ベンジャミン・グレアム はバリュー投資(割安株投資)の、②フィリップ・フィッシャー は成長株投資の始祖と言えます。
そしてその2人を師に持つ③ウォーレン・バフェット は師の投資手法を組み合わせた割安成長株投資を確立させた人です。
20世紀後半以降の株式投資の王道は、バフェットが確立させた割安成長株投資だと言えますので、本書でも最も多くのページが割かれています。
バフェットの投資手法とは
バフェットの投資手法を、本書はこのように表現しています。
「特権的強み」で超優良企業を見極め、超割安な株価になるのを待って買う
バフェットが投資した代表的な銘柄は、
コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、ウォルト・ディズニーなど。
バフェットが投資するのは「事業内容がわかりやすく、特権的強みを持つ企業」です。
「事業内容がわかりやすい」とは、「なぜ売り上げが伸びているのか」がわかりやすいことを意味し、「特権的強みを持つ」とは、今後何十年も成長を続けられそうな商品やサービスをもっているということです。
上記の銘柄は、いずれもそれを満たしており、世界的なブランドを構築していますよね。
その他の主要な手法
④ピーター・リンチ ⑤ウィリアム・オニール はアプローチの仕方が異なりますが、いずれも「大化け株」を探す投資家です。
⑥ジム・ロジャーズ は、割安株に良い変化が生じたタイミングで買う、という手法です。
いずれも、本書では詳しく説明されています。
まとめ
本書は、「12人の名投資家の投資手法のまとめ本」ですから、その本書をさらにまとめるとなると、抽象的になってしまいます。
あえてすべての投資家の手法と本書の内容を強引にまとめると、本書の「はじめに」に書かれているこの言葉に集約されるでしょう。
結論から言えば、株で儲けるための最も重要な原則は、「成長性ある企業を見極めて、超割安な水準で買う」ということです。
どうすればそれができるか、それを学ぶ端緒を得たい方は、ぜひ本書をお読みください。
間違いなく、おすすめの1冊です!