【書評】バビロンの大富豪(ジョージ・S・クレイソン)

2020年5月6日書評

こんにちは、fabです。

当ブログを訪問いただき、ありがとうございます!

連日の投稿ですが、書評第2弾です。

前回も古典に属する名著でしたが、今回はそれ以上に古い本です。日本語訳版が近年出ているので、容易に手に入ります。

原版が初めて世に出たのは1926年。数千年前の古代都市バビロンの人々が粘土板に残した「富の基本原則(黄金の知恵)」を寓話形式で著した本であり、

全ての投資家にとって古典中の古典。

その分、書評もそこら中にあふれています。

なので、今回の書評は単にエッセンスを紹介するのではなく、「なぜこの本が名著とされ、今なお読まれ続けているか」にフォーカスしたいと思います。

その点、書評というよりも、「『バビロンの大富豪』に見る投資家に愛される古典的名著の条件」にような内容になります。予めご了承ください。

 

「古典的名著」とはどういうものか

古典的名著、すなわち古典ともいうべき古い本でありながら、現代においてもその価値を失わず、評価され続けている本。

どのような本が、古典的名著として長く愛されるのでしょうか。

言うまでもなく書物は、改訂版が出ない限り内容が更新されることはありません。

著者が亡くなると、元の本としては改訂されることもありませんので、情報は古いままです。

私たちの生きる現代は、情報のライフサイクルが非常に短く、すぐに陳腐化する情報が氾濫している時代ですので、普通の情報が載ってある普通の本は、数年で価値が半減し、十年もたてば一顧だにされなくなります。

しかし、古典的名著とされる本の価値は、長く失われないばかりか、それを読んで人生をよりよいものにした数多くの読者たちの評価によって、むしろ高められていきます。

私は、そういった本に共通する特徴は、「いつの世にあっても人の心を動かし続ける物語や教訓が、わかりやすく表現されている」ということだと思います。

仮に、現代人には理解できないような文化や習俗を取り扱った本であれば、歴史的価値はあったとしても、感動を覚えたり役立ったりはしません。

一方で、役に立つ興味深い情報であっても、難解な歴史的表現や学術的表現で記されていれば、現代の一般読者が愛読するには至りません。

「心を動かす物語や現代に通じる教訓」と「わかりやすさ・手に取りやすさ」。そのどちらも、古典的名著となるに欠かせない条件だと思います。

 

『バビロンの大富豪』が「古典的名著」になった理由

前述のとおり、古典的名著には、「いつの世にあっても人の心を動かし続ける物語や教訓が、わかりやすく表現されている」という特徴があります。

詩や小説であれば、「昔の人も、恋人や家族、親しい人を想う気持ちは同じなんだな」と感じることがあるでしょう。それこそが長く愛される理由です。

同じように、ビジネス書の古典的名著と呼ばれるこの『バビロンの大富豪』の場合、「富を生む大原則は、数千年前から変わっていないんだ」という驚きと感動が、評価され続ける理由の一つだと思います。

また、この本に記された物語は、数多くの教訓を示してくれますが、それらは現代の高度な資本主義社会においても十分に通用するばかりか、小手先の財テク本が巷にあふれる現代の迷える投資家たちに、「富とはどのようなものであるか」を、わかりやすく教えてくれるものばかりです。

幼い頃に読んだ寓話が、誠実さや勤勉さといった人間が尊ぶべき美徳を教えてくれるものだとしたら、この本の物語はそれより一歩進んで、真っ当な経済的豊かさをどのように手にすべきかを大人たちに教え諭してくれるものだと言えます。

「現代に通じる教訓」が「わかりやすい物語調」で記されている。この本は古典的名著の条件を完全に満たした数少ないビジネス書であると言えるでしょう。

 

内容紹介①:黄金の子供

ここまで、「古典的名著とは何か」「『バビロンの大富豪』はなぜ古典的名著か」を述べてきました。

最後に、この本に記された「黄金の知恵」がよく表れた部分をいくつか紹介します。

「おまえが貯める金は一つ残らずおまえのために働く奴隷なのだ。その金が稼いできてくれる銅貨も一枚残らずおまえのために稼いでくれる、まさに黄金の子供なのだ。」

「稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく。稼いだ金額がいかに少なかろうと十分の一より減らしてはならない。十分の一の金でさえ、取っておく余裕などまるでないこともあるだろう。だが、とにかくまず自分自身に支払え。仕立て屋やサンダル屋から買うときには、残りの金で払うことができるよう、なおかつ食事やお布施や神々への供え物に十分なものが残るようにするのだ。」

大富豪のアルカドという登場人物がまだ若く貧しい頃、老齢の金貸しアルガミシュに言われた言葉。稼ぎの一部を貯金しておけという言葉に続く部分です。

これは前回紹介した本多静六氏の「四分の一天引き貯金」と共通しています。「まず自分自身に支払え」という表現がユニークですね。

またこのアルガミシュという人は、働いて稼いだ金をすべて誰かに支払ってしまうなら、その人たちのために働いているようなものだ という趣旨のことを言うのですが、まさにその通りですよね。私もときどき、大家さんのために働いているんじゃないかと思います。うちの大家さんは豪邸に住んでますしね。(法人成りしててストリートビューで所在地見てしまった。)

 

内容紹介②:欲求と必要経費とを混同するべからず

「私たちがそれぞれ必要経費と呼んでいるものは、自分で気をつけていない限り、必ず収入と等しくなるまで大きくなってしまうものなのです。必要な経費と自分自身の欲求とを混同してはいけないのです。」

前述のアルガミシュの言葉を受けて努力して大富豪になったアルカドが、王から命じられて若者たちに「黄金の7つの知恵」を教えるようになった場面。これは2つ目の知恵です。

パーキンソンの法則を連想した方もいるかもしれません。

確かに、「裸で生活するわけにはいかないから、被服費は必要だ。」は全く正しい。でも「同じ服ばっかり来ていると思われたくないから、買い足す」は程度によってはただの欲求です。

おしゃれ上級者の方はどうかわかりませんが、少なくとも私は他人の服装など全く覚えていません。

それはさておき、確かに欲求と経費の混同は、資産形成の上でも気を付けたいポイントですよね!

 

書評まとめ

ほかにも興味深い物語やセリフがありますが、断片的に読むよりは全編を通して読むことをおすすめします。

いわゆるハウツー本ではないので、「これを読んでさっそく実践!」という感じではありませんが、じわっと心に残る名著です。

書評資産形成, 古典, 天引き

Posted by fab